映画「ある日どこかで」

今回は(株)メモリーズのお知らせではなく、ある映画のことを書かせていただきます。

みなさんは「ある日どこかで」という映画のことをご存知でしょうか?
今週、この映画のBlu-rayが発売されました。

「ある日どこかで」は1981年公開の映画で、公開後にじわじわと人気が上がったカルトムービーの代表的な作品です。
私は大学生の時にたまたま映画館で見て とりこになりました。実は私のオールタイムベスト、今でも一番好きな映画です。

主演は「スーパーマン」のクリストファー・リーヴと「007 死ぬのは奴らだ」のジェーン・シーモア。と言ってもアクション映画ではありません。ホテルの資料館で舞台女優の古い写真をひとめ見て恋に落ちた劇作家の青年が、時間を超えて60年前の彼女に会いに行き、ついに恋を成就させるというSF的なラブストーリーです。

主演のクリスはハンサムでとても誠実そうで、ジェーンは神秘的でひたすら美しくて、二人を見ているだけでもうっとりしてしまいます。感動的なラストまで、幾度も涙腺が緩んで困ってしまいます。

筋書きは荒唐無稽なファンタジーですが、主演の二人の魂のこもった演技と監督のヤノット・シュワルツの計算された演出が、この映画に真実味を与え見るものを引き込みます。

ロマンチックな映画音楽もこの映画を名作にした要因のひとつです。テーマ曲は007シリーズのジョン・バリーが書き下ろしていますが、それ以外にもラフマニノフの曲が効果的に使われています。

映画館で何度か観て、後日レーザーディスクやDVDなどいろいろなメディアで見てきましたが、ようやくこのたび高画質なBlu-rayになりました。

ハイビジョン収録された映像の豊かさは格別です。映画では現代をメリハリのある色調のコダック、過去をやさしい色合いのフジと、フィルムのメーカーを変えて撮影しています。ハイビジョンでテレシネされたことで再生される映像の色域が広がり、フィルムの違いをはっきり感じることができました。

「いい年して恋愛映画か?」とお笑いでしょうが、まだ見たことがないという方は一度ぜひ見てみてください。時間SFらしく、あちこちにちりばめられた伏線が解かれていく様子を見るだけでも面白いと思います。
(Blu-rayやDVDの他、AmazonVideoでも配信されています)
http://amzn.asia/d/0zPCCJu

ところでこの作品の鍵は、長い時間を超えて主人公に愛を伝えるヒロインの古い肖像写真です。(ヒロインの視線に秘密があるのですが、それは映画をご覧になってのお楽しみです)

「メモリーズ 思い出アルバム」では古い写真をスキャンしてデジタル補正しているのですが、その過程で退色やぼやけが解消されて、思いがけず生々しく人物が再現されることがあります。

まるで写真を撮影したその時のその場所から、懐かしい人が笑顔でほほえみ語りかけてくるような気がします。それで恋に落ちることはないかもしれませんが、いつも懐かしく温かい気持ちになることは確かです。

写真が本来持っている力を思い出す瞬間です。

「思い出アルバム」を始めるずっと前から、そのことを「ある日どこかで」という映画に教えられてきたような気がします。